歴史ある古都、京都には美味しいお漬物がたくさんあります。
中でも三大漬物と呼ばれ親しまれているお漬物があります。
その三大漬物というのは「しば漬け」「千枚漬け」「すぐき漬け」です。
それぞれの発祥地をはじめ、老舗と呼ばれる名店をご紹介していきます。
伝統を守りつつ、現代人にも好まれる京都の三大漬物はギフトとしても喜ばれる一品です。
平安時代より続く鮮やかな紫の色合いの「しば漬け」
茄子や茗荷、胡瓜などを紫蘇の葉と共に漬け込んだ漬物が「しば漬け」です。
しば漬けは、京都の中心地から北東に位置する大原が発祥の地です。
平家滅亡の際に、建礼門院徳子は壇ノ浦から助け出され、余生を大原で過ごしています。
地元の人たちは、夏野菜を漬け込み保存食としていたものを建礼門院に献上しました。
高貴なる色である紫色の漬物に建礼門院が喜び、名付けたのです。
このしば漬けの老舗といえば「土井志ば漬け本舗」でしょう。
明治34年に創業した老舗で、大原の自然の恵みを守り、後世に伝える店舗です。
千年の昔から伝わる製法で、香り高く色鮮やかな紫葉漬けを作り続けています。
紫葉漬けの旬は7~8月、祇園祭の頃に漬け込みが始まります。
素材の実力が活かされる「千枚漬け」は冬の京漬物
京都の伝統野菜の1つ、聖護院かぶらを薄く輪切りにした浅漬けが「千枚漬け」です。
その歴史は江戸時代後期、江戸時代最後の天皇である孝明天皇の時代に始まります。
当時孝明天皇の宮中大膳寮に仕えていた料理人大黒屋藤三郎が発案したものです。
天皇の嗜好に合うよう工夫を凝らして作られた漬物でした。
大黒屋藤三郎氏は後に職を退き、店を起こしています。
そのお店は大黒屋藤三郎の名前から一文字ずつ取り「大藤」と屋号を定めています。
「大藤」は今も京都にその店を構え、千枚漬け発祥の老舗として続いています。
聖護院かぶらは冬が旬を迎える野菜です。
そのため、千枚漬けも京都に冬の訪れを告げる漬物となっています。
門外不出とされてきた「すぐき漬け」は宮中由来の味わい
門外不出の固有種として栽培されたすぐき菜を使った漬物が「すぐき漬け」です。
上賀茂神社に使える氏族が大切に守り栽培してきたため、その栽培数はわずかでした。
そのため、すぐき漬けは高級贈答品として一般に普及はしていませんでした。
一般に普及し始めたのは明治以降になってからと言われています。
すぐき漬けの老舗といえば1804年創業の「御すぐき處京都なり田」が有名でしょう。
約300年前に飢饉が起こり、その救済のため製法が公開された当時から「なり田」はあります。
伝統を守りながらも、創意工夫を重ねる姿勢がみられる京漬物のお店です。
12月頃に新漬けが登場し次の夏ごろには発酵し時候慣れしたすぐき漬けが楽しめます。
まとめ
京都の三大漬物には旬があります。
夏の「しば漬け」、冬の「千枚漬け」、冬から翌年夏にかけての「すぐき漬け」です。
1年を通じて美味しいお漬物が京都にはあることが分かります。
旬に合わせてお漬物を選ぶことで、四季を身近に感じることができるでしょう。
また季節のご挨拶の際に持参するギフトとしても、最適な品物といえますよ。
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